読んでいて気持ちが入っていかない文の特徴の一つに、鍵かっこが多いというものがある。初めて見る文字列が鍵かっこでくくってあると、意味が気になって先に進めない。一方、普通の単語をやたらと鍵かっこに入れている文も引っかかり引っかかりしてしまう。共通するのは、書き手が特別の意味を込めているのに対して、読み手がそれを読み取れず困惑していることだ。
英米のドラマでは、ダブルクオーテーションに入れてある単語を口にするときに、両手を頭の位置くらいに上げて人さし指、中指を左右同時に曲げ、引用符の形を真似する。そのとき、発言元の人を心底馬鹿にしたような表情をするのが常だ。穏やかな私はそんなことはしないが、その鍵かっこ、本当に要りますか?と問い掛けつつ、読み飛ばしている。